柳田芙美緒は静岡連隊に出入りを許された写真師であった。
柳田は1909年(明治42)焼津で生まれ、1933年(昭和8)には連隊関係写真師として静岡市両替町に写真館を構えた。1935年からは歩兵第34連隊とともに満州へ渡り、以来、静岡編成部隊の従軍写真師としても活動した。1939年10月からは歩兵第230連隊(のち、ガダルカナルに投入された部隊)にも従軍した。戦地と静岡との往復を重ねた。
従軍写真師の役割は部隊の歴史や宣伝の写真を撮ることであったろうが、柳田は兵士に焦点を当てた。柳田芙美緒が撮したのは、戦争の中にいる同郷人であった。
(参考:村瀬隆彦「志太の文学青年から写真家へ/ 柳田芙美緒」『近代静岡の先駆者』)